2025. 09. 30
賃貸住宅の退去時精算や入居中の修繕負担をめぐるトラブルは、オーナーにとって大きなリスクになりかねません。こうした紛争を未然に防ぐため、東京都は「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン(第4版)」を公表しています。本記事では、オーナーが知っておくべき最新の改正内容や注意点を整理しました。
1. 最新ガイドラインの改正ポイントをチェック
今回の改訂版では、民法や宅地建物取引業法の改正が反映されています。特に注目したい変更点は以下のとおりです。
重要事項説明書に「水害ハザードマップ」の記載欄を新設
契約書や重要事項説明書における宅建士の押印義務を廃止
賃貸住宅紛争防止条例の改正点を反映し、関連条文を更新
入居手続きのオンライン化に関する参考コラムを追加
オーナーにとっては「重要事項説明書の内容変更」や「オンライン手続きの進展」は直接関わる部分です。管理会社任せにせず、必ず最新の内容を把握しておきましょう。
2. 原状回復・修繕義務の基本を理解する
ガイドラインでは、退去時の原状回復や入居中の修繕について、貸主・借主それぞれの負担範囲を具体例と図表で解説しています。
貸主負担となるケース:経年劣化や通常使用による消耗
借主負担となるケース:喫煙によるヤニ汚れ、ペットによる傷、著しい汚損 など
また、修繕義務については「貸主は生活に必要な修繕を行う義務がある」と定められていますが、例外的に義務が免除される場合もあります(例:著しく低額な家賃設定で高額な修繕費が必要になる場合)。
さらに、小規模修繕を借主に任せる「特約」や、修繕連絡先を明確にすることで、トラブル防止につなげられます。
3. 入居から退去までの注意点と相談先
ガイドラインでは借主に向けた注意事項も示されていますが、オーナーも把握しておくことで不要な摩擦を避けられます。
契約時:特約内容を丁寧に説明し、入居前確認書の活用を促す
入居中:修繕依頼には迅速に対応し、放置によるトラブルを防ぐ
退去時:予告期限や原状回復範囲を明確にし、トラブル時は誠実に話し合う
万が一トラブルに発展した場合は、東京都の「賃貸ホットライン」「不動産取引特別相談室」などの相談窓口を活用することが推奨されています。必要に応じて民事調停や少額訴訟の利用も可能です。
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